キーワードは企業の現地化




2010年06月07日(月)
深センでの製造業工場の内部 (1997年当時)

中国における企業の経営について、各地の企業の方々が特にいっていたことは、
企業を現地化する
ということでした。
経営の日本人スタッフは少数にして、労働者も実力がある人にどんどん重要な 役職に就いてもらう。
いずれは、その国の人たちに経営をしてもらうように考えているのが現地化ということです。
以前の古いタイプの日本企業は、海外において、経営や重要な役職に関するところは全て 日本人スタッフが占め、移転先の海外の人たちは、いくら努力しても能力があっても重要な 役職に就けないということがあったという話を日本にいるときから聞いていました。

その結果、従業員はその企業に対して、将来性に不安を感じ、より優位な条件で迎えてくれ る他企業に転職してしまう人が多いということです。2010年の今考えれば当たり前の事ですが、 この文章を執筆当時の1997年ではまだまだ馴染みのない習慣だったと思います。
確かに、働いた分の見返りが少なければ、やる気はそがれてしまいますね。 そして、更に自分を評価してくれる会社からのオフォーがあれば、当然そちらに行くのも やむを得ない事でしょう。
その現象に対する対策として、今回訪問した日系企業では、現地化を進めていました。
これによって以前と違った形になってあらわれる事は、次のようにいくつかあるといえます。

まず第1に、自分の働きに対しての報酬として、金銭のみでなく、企業内での力、 つまり重要な役割を任じることにより、人を動かす立場に立ち、経営に参加して いくことでその企業に対してやりがいと自分たちの会社なんだという意識が芽生える事。

第2に、現地化を進めるという意志によって、外資の企業は、現地の物事の進め方を取り込み、 吸収して消化し、新しく、今までの殻を破ることができます。
これがうまくいかない場合、労働者との対立や(2010年にとある車メーカーさんで表面化しましたね...)、 現地にうまくとけ込めずに、撤退ということになることもありえます。

第3に、現地化ということで
その土地において、仕事をさせて頂いているという考えに日本人経営者側がなる
ということだそうです。多くの人々の助けなしに経済活動は成り立たないことを忘れずに企業活動を行うように 心がけると仰っていました。

実際に麗沢会海外派遣として中華人民共和国に派遣していただき(1997年の出来事です)、
日本と近隣諸国は経済共生への道を進んでいると、私は感じました。現在中国に限らず、 日本企業は世界中に事業を展開しています。
国境を越えたネットワーク社会が21世紀におとずれるといわれる中(この原稿執筆当時はまだ20世紀でしたorz)、 企業の現地化は、その基盤となる必要不可欠な条件となるに違いないと確信した。