贈る言葉


人との会話は刺激的である

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。様々な可能性のある大学生活が始まろうとして います。時が経つのは早いものです。私は2年生の時、麗沢会海外派遣団に参加して中華人民共 和国に2週間行きました。産業の空洞化といわれ、日本のメーカーが生産拠点を海外に移してい く理由に興味を持ったからです。また、クラスメイトに上海からの留学生がおり、彼の出身地で ある上海を見てみたい思いもありました。現地で迎えて頂いた拓殖大学の先輩方から、海外で活 躍することのやりがいと、大変さを感じさせられました。訪問先での大学生との交流は自分にと って刺激的でした。日本語学科の学生と交流を持ったのですが、彼らは日本語を学んでほんの数 年しかたっていないのに流暢な日本語がしゃべれるのです。かなりのインパクトがありました。 いったい自分は何年外国語を学んでいるのかと。そして彼らの勉学に対する真剣さに。3年生の 夏休みには、工学部海外研修に参加してアメリカ合衆国へ1ヶ月滞在しました。文化の違いや、 似ているところを感じ、滞在先の学生と交流を持ちました。そこで感じたのは、相手とのコミュ ニケーションを図るために、話し言葉が非常に大切だということです。言語の違いにより、お互 いの言いたいことはなかなか伝わりませんが、気持ちは伝わるものです。私はいつの日か、自由 にお互いの意志の疎通がとれるようになれたらいいなと感じました。

研究生活のほんの一例

工学部の場合1〜3年生で、基礎科目及び専門科目を履修します。4年生になるとそれぞれ 希望分野の研究室に配属されます。私の場合は、様々な研究分野を熟考の末、特に興味が あったアンテナ及び通信分野の研究室に決めました。平日は、ほぼ研究室で過ごします。 研究テーマについて思考し、計算し、実験し、議論します。考えがまとまらない、うまい 結果が出ないときは、帰宅後も自宅にあるパソコンで夜遅くまで勉強する事もたびたびで す。何時間やっても答えが出ない時は、頭の片隅に研究内容を入れて他のことをしたりし ます。ヒントやアイデアが思いつくのは突然の場合が多いので、ペンと紙は10秒以内に 取り出せるよう、いつも持ち歩くようにしています。ふと思いついたことは忘れるのも 早いので。解らないことが解るようになってくるとおもしろいです。

やることやれること

大学時代にやることは、自分の知的欲求を満たす手段を見つけることではないでしょう か。具体的には、自分が生涯を通じて関わっていきたい分野を決めることです。そして 大学時代にあるチャンスとは、自分とは違う価値観を持った多くの人と刺激しあえる場 が持てることではないでしょうか。講義や課外活動、その他を通じて得られた友人や恩師 は、自分の人生にとってかけがえのない宝物になるはずです。私自身で言えば、電子工学 という広い範囲の中で、アンテナ・通信分野に関わっていきたいと4年生の研究室生活 を通してすすむべき分野を決めました。そして、講義や麗沢会海外派遣団、工学部海外 研修などを通じ、様々な考えを持った人と交わりました。ただし、宝物は時々磨かなけ れば曇ってしまうこともあります。長く輝かせたいものです。

贈る言葉

これを読んでくれている新入生に、私が大学生活を過ごして感じたことを3つの言葉に して贈りたいと思います。1つ目「後でやろうと思ったことは、後になってもできない」。 物事には時期があると思います。そうした瞬間を逃していますと、結局再びチャンスが 巡ってくるまで、1週間、1ヶ月、1年間と月日が経ってしまっていることがあります。 後回しにしたことを始めるのはパワーがいります。2つ目「目標を決めて戦力を集中さ せる」。物事にさける力と時間は限られていることを自覚することが必要です。大学生 活では選べる選択肢が無数にあるため、自分にとって本当に必要な物を見極める事が大 切です。この自分の目標を決めるということは簡単に出来ることでもないし、失敗もす るでしょう。しかし、失敗を許してくれる時間は大学生活にはあります。小さい、大き いに関わらず目標を決めるということは人生戦略を立てる練習になるはずです。3つ目 「自分が強く願った世界は実現する」。ちょっと大げさですが、文字通りです。何かを 実行しようとする気持ちから、自分を動かす原動力が生まれてくるのでしょう。大学は、 自分は何をしたいのかを考え、行動に移すのに絶好の場所です。これから始まる大学生 活で、積極的にチャンスをつかみ、自分の人生観をしっかり持てるようになって欲しい と思います。